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『初恋、ざらり』感想|涙なしには観れん|普通って何だろう?

暑い夏もようやく終わり、夜はやや寒さを感じる日も出てきました。
皆さん、夏ドラマはいかがでしたか?『VIVANT』をはじめ、ドラマ界も暑すぎる日々でしたね……。さて、私が今期最も面白かったドラマはテレビ東京ドラマ24で放送された『初恋、ざらり』です。軽度の知的障がいを持つ25歳の主人公が恋をし、成長する物語。今までの自分の無知さ、そしてこの世界がいかに普通にとらわれているかも痛感したドラマです。

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あらすじ

軽度知的障がいと自閉症がある上戸有紗(小野花梨)は『普通』に憧れ、強い劣等感を抱く25歳の女の子。必要とされることに執着するあまり、職場のコンパニオンでは客の求めるままに体の関係を持っていた。ある日、障がいがあることを隠して運送会社で働くことに。常識的な言葉の意味や、暗黙の了解を感じとることが苦手な有紗はパート仲間に邪険にされますが、そこで優しく接してくれる社員の岡村龍二(風間俊介)に恋をします。

原作は?

マンガ原作の『初恋、ざらり』はTwitterで話題となり「このマンガがすごい2023」に選ばれてる超人気作品。著者のざくざくろさんはSNSにエッセイ漫画の投稿を始めたことがきっかけでプロの漫画家に。現在SNSのフォロワーは20万人の人気作家です。

登場人物

主人公の有紗を演じるのは今作品がドラマ初主演の小野花梨。子役として活動を続け、2021年に『カムカムエヴリバティ』に出演し、注目を浴びます。2022年には映画『ハケンアニメ!』での演技が評価され、その年の日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞した若手実力派女優です。

 

有紗の恋する岡村さんは風間俊介有紗の母親を若村麻由美が演じています。この配役、本当に凄かったです・・・小野さんは有紗のかわいらしさ、素直さ、繊細な心理描写を見事に表現していたし、風間さんもねぇ、良かった。本当に毎回涙涙でした。そして、このお母さん。有紗のお母さんはまぁ良い母とは言い切れない部分が多々あります。有紗への言い方はキツイし、男も連れ込むし、岡村さんには悪態をつくし。。。でもそこには複雑な母の思いがあるんですよね。
分かりやすい愛情は示さないが、心の底では誰より子どもの幸せを願っている。
こんな感情表現、若村麻由美さん以外できないでしょう。このドラマは若村麻由美の骨太な演技によって磨きがかかっているといっても過言ではないです。

見えない障がいのつらさ

私はこの作品を観るまで「見た目に分からない程度の障がいなら…」なんて思っていました。今でこそADHDなど多くの名前がつくようになった軽度障がいですが、アラフォーの私の小学生時代などはそういった子たちも「ちょっと落ち着きがない子」「ちょっとうっかりさん」といった個性のある普通の子としてクラスで共に過ごしてきたのです。大変な部分もあるかもしれないけど、普通に学校も行けるし、生活もできるし、就職だってできる。生きる道はいくらでもあると。
 しかし、このドラマではそんな有紗の現実が事細かに描写されます。言葉の意味をそのままに受け取って、周囲をイラつかせたり、「これぐらい普通」という何気ない言葉に傷ついたり、見た目には分からないからこそ、普通との比較に有紗はどんどんと自尊心を失っていきます。
 また有紗はその周囲との違いをきちんと認識できていて、普通になりたい、と必死に努力します。普通じゃないことがバレないかと周りの目を気にして、心の中はいつも水の中で溺れ、もがいています。でもどんなに頑張っても彼女の求める普通になることはありません。普通になりたいという普通の願いが絶対に叶わない…この事実に何度もぶち当たり、心が折れていく描写は涙なくして観れません。
 私が今からプロ野球選手になりたいといってどんなに努力してもまぁ無理でしょうが、有紗が憧れる普通が、それほど遠いということが本当に切ないです。

これは私の全く知らない世界でした。『障がいがあっても軽度なら…』なんて考えの至らなさを本当に痛感するのです。

親友ともちゃんの両親は誰に謝っているのか

紗には養護学校時代に出会ったともちゃんという親友がいます。ともちゃんは有紗よりも障がいの程度が重く、特に怒ると手がつけられなくなります。
『アイドルになる!』と言って素人の撮影会に出かけたともちゃん。心配した有紗と岡村さんは撮影場所の公園へ様子を見に行きますが、案の定、男は2人きりになれる個室にともちゃんを連れて行こうとします。しかしともちゃんの両親が現れ、「家に帰ろう」と引き離します。心配した両親はGPSを辿ってともちゃんを見守っていたのです。アイドルになりたいともちゃんは、撮影会を邪魔されて絶叫し、暴れまくります。
周囲の人々は驚き、視線が集まります。岡村さんはその光景に度肝を抜かれて動けません。必死にともちゃんを宥めるお母さんの横でお父さんは公園中にいる人たちに向かって「どうもお騒がせして申し訳ございません」と何度も頭を下げます。
お父さんの表情に悔しさや悲しさはありません。慣れたように大きな声で謝るのです。
これは本当に号泣です。悔しいも悲しいも何度も経験してそういう気持ちはもうないのでしょう。

この公園は、この世界は誰のものなのかと……。
お父さんは誰に、なぜ謝っているのか。
25歳の大人が暴れるのは、泣き叫ぶのは「普通」じゃないからでしょうか?
「普通」の世界で「普通」じゃないことをしたから、こんなに謝るのでしょうか?
じゃあ、この世界は誰のものなのでしょうか?普通という言葉の残酷さをこんなに感じたことはありません。

 

「産まなければ良かった」と何度も思った有紗の母

有紗の母親は、おそらく水商売をしていて生活は決して楽とは言えなさそうです。
四六時中下着が干されている1Kに娘がいるにも関わらず、連れ込んだ男が出入りします。有紗のできないことに対しても暴言を吐き、一見毒親にも見えます。
 しかし、彼女はこの25年間、必死に後悔と罪悪感と有紗が母親に向ける計り知れない愛情のはざまでもがいて生きてきました。女手一つで逃げ場もない中、よくぞ育ててきたなと思います。彼女はこういう女だったから、この親子はここまで生きてこれたのだと思いました。複雑な思いを抱えながらも、有紗のことを愛しているのは間違いありません。岡村さんと付き合うことになった有紗には、頼るのではなく支え合うのだと自立を促したり、障がい者手当をコツコツと貯金していたり、向けられる言葉とは裏腹にいくつもの葛藤を乗り越えた深い愛が伝わります。
この役どころはきっと若村麻由美にしかできなかったでしょう。
本当にこの演技にはアッパレとしか言いようがないです。

「普通」に縛られた息苦しさ

このドラマでは障がい者の日常を描きながら、「普通」というものに縛られている私たちの日常と、そして「普通」がいかに実態のない、あやふやなものなのかということも描かれています。有紗の恋する岡村さんは子どもの頃から「普通が一番」と育てられ、何の面白味もない大人になってしまったとコンプレックスを感じています。
 しかし「普通」というものに憧れて仕方ない有紗と付き合い、岡村さんもまた葛藤を抱え、そして有紗ともすれ違っていきます。有紗の素直で真っすぐなところに惹かれた彼ですが、有紗に障がいを告白されると、その全てが障がいゆえのことなのかと気になりだし、普通と比較しだします。「世界が二人だけだったらいいのに」と岡村さんは泣きながら有紗を抱きしめるのです。
 好き合っている2人だけど、現実的には様々な問題が立ちはだかります。そんな中、2人はどんな選択をするのかが見どころです。

さて、今回は私のイチオシ2023年夏ドラマ『初恋、ざらり』についてお話ししました。
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本ページの情報は2023年9月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。