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「First Love 初恋」感想|絶対泣けるやつ!あぁ…懐かしい!が止まらない90年代ラブストーリー

『全裸監督』、『サンクチュアリ』、『離婚しようよ』など話題作が止まらないNetflixドラマ。今回は2022年11月に配信された満島ひかり・佐藤健主演の『First love 初恋』をご紹介します。
※以下、若干のネタバレを含みます。

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<目次>

作品概要

宇多田ヒカルの楽曲『First love』『初恋』にインスパイアされて制作された本作の監督を務めるのは彼女と同年代の寒竹ゆり。すみません、私はこの作品で初めて知りました…(汗)所謂メジャーどころではないこの監督の起用はかなり話題に。作品のヒットと同時に一躍時の人となりました。

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初恋

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北海道の広大な自然を舞台に満島ひかり演じる野口也英(やえ)と佐藤健演じる並木晴道(はるみち)の20年にも及ぶ恋を描いた本作。2人の高校時代である90年代、20代を描いたゼロ年代と現在の3つの時代を行き来する巧みな構成で多くの伏線を丁寧に回収していく傑作です。ロケ地は250カ所以上、約8ヵ月にも及ぶ撮影期間を経て、こだわりぬいた映像美とともに贈る切ないラブストーリー。

自衛隊のイラク派遣、地域・雇用格差などバブル崩壊後の暗い日本を背景に宇多田ヒカルに衝撃を受け、映画『タイタニック』に夢中になりながら、思いっきり青春を駆け抜ける也英と晴道。青春時代が輝かしければ輝かしいほどに、その後、過酷な運命を辿る也英の姿に心が締め付けられる作品でもあります。若き日の也英と晴道を演じた八木利可子と木戸大聖のみずみずしい演技にも目が離せない見どころ満載のドラマです。

あらすじ

札幌でタクシードライバーをしているバツイチの野口也英(満島ひかり)は、元・夫(向井理)と暮らす14歳の息子・綴(つづる/荒木飛羽)との面会日だけを喜びに全てを諦めてひっそりと生きていた。

かつては才色兼備で学校一の美少女(八木利可子)。努力家で真面目な性格の彼女はCAになるという夢に向かって真っすぐに生きる希望に溢れた若者だった。恋もしていた。同級生のやんちゃな人気者・並木晴道(木戸大聖)。互いを想い、大切に過ごした青春時代。何もかも完璧だったのにとある不幸で運命は一変してしまった。

15年以上の時を経て、也英はひょんなことから晴道(佐藤健)と再会。90年代、ゼロ年代、現在の3つの時代を行き来しながら、20年にも及ぶ2人のラブストーリーが始まる。

見どころ

アラフォー必見!青春がよみがえる!

わたくし宇多田ヒカルとも寒竹監督とも同学年の1982年生まれでして…。肉体の衰えをひしひしと感じる今日この頃ですが、もちろんこんな私にも青春はありました(笑)
私が物心ついた頃にはすでにバブルは崩壊。世の父親たちが次々にリストラされ、いわゆる不良ではなく普通の青年たちがセンセーショナルな事件を起こす暗い時代でした。なんせ人生の大半を「失われた30年」なんて言われていますからね…笑 そんな時に現れたのです!希望の15歳が!そう、宇多田ヒカルです。

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寒竹監督は宇多田ヒカルのデビュー時、「『自分たちの時代が始まった』と思わせてくれた」と語っていますが、私もその感覚は本当にありました。今までのJ-popとはまるで違うサウンドやリズム。帰国子女の彼女が発するネイティブな英語。15歳で作曲も作詞もやっていて、大御所芸能人にも全く媚びない態度のデカさww。何もかもが衝撃でした。大人が作った世界を生きるんじゃない。時代は自分たちが作るんだ!そんな高揚感が胸を躍らせてくれたのです。也英と晴道が過ごした青春時代はまさにそんな時代でした。

このドラマのテーマであるプルースト効果。特定の香りをかいだ時に記憶や感情が思い出される効果が本来の意ですが、1話ごとに嗅覚、聴覚、触覚などの5感をテーマに過去の記憶を呼び戻す構成になっています。宇多田ヒカルの歌が聴覚、セピアな世界観が視覚、悪ぶる高校生晴道が吸う赤いマルボロの嗅覚、思い出を彩る料理たちの味覚、記憶は薄れても体が覚えている…触覚。「ただ懐かしい!」だけではない、若き日の青春を視聴者自身も五感で追体験できるところが見どころです。

生きるってホントに厳しい…でも…

複雑な家庭環境を抱えていた也英ですが、理解のある恋人と多くの友人に恵まれた学生時代を送ります。あまりにも完璧な10代を過ごしていただけに、ある不幸な出来事以降、彼女に次々と降り注ぐ多くの困難にはどこまで突き落とせば神様は満足するのだろうかと思わずにはいられません。王子様と幸せに暮らしたはずのシンデレラのアフターストーリーがあまりにも地獄だったかのような衝撃。晴道との再会後、彼女の寂れた生活にわずかな彩りが添えられるものの、なかなか幸せを掴みとるには至りません。

なぜか……それは彼女が全てを諦めているからです。「寂しさはスグ慣れますから…経験上…」と自分に言い聞かせ、期待をしないよう自分を抑えて生きてきました。でも、ここにドラマのような(ドラマなのに)奇跡は起きません。たとえ人生を諦めても仕方ないような不幸が続いても、道は自分で切り開かない限り、決して闇を抜ける奇跡は起こらない。この展開が、今を生きる私たちの世界をあまりにリアルに描いています。いやぁ、人生って厳しいですね。。。でも、背中を押してくれるわずかな仲間はいつもいるものです。

その1人が、也英に想いを寄せるタクシー会社の同僚・占部旺太郎(おうたろう/濱田岳)です。自分の気持ちに嘘をつく也英に「逃げるな!野口也英!息を吸って前進しろ!」と背中を押します。いやぁ、もうこのシーン何度観ても涙が出ます。濱田岳ぅ~。

大人になるともう誰も守ってくれない、お膳立てもしてくれない。どんなに落ちたって自分で這い上がるしかありません。チャンスは時々目の前を通り過ぎるけど、誰かがつかみ取ってくれることはありません。変えたければ自分で取りに行くしかないという厳しい現実と、それでも背中を押してくれるわずかな仲間や家族はいるという温かさを教えてくれる、そんなドラマです。

平和ボケ日本と自衛隊

このドラマでは、テロという新たな世界戦争に向き合わざる得なくなった日本の苦難や東日本大震災という自然脅威に対し、常に最前線に立たされた自衛隊の姿を隊員として働く晴道を通してシビアに描いています。

つけやいばの知識で自身の自衛隊論を偉そうに語る若者。隊員たちの命を問う国の決定の場で、言葉の上げ足をとってどっと笑いが起こる国会中継をTV越しに真剣な眼差しで見つめる隊員たちの緊張感。

そして2003年ついにイラク派遣へ。晴道はその一部隊として現地に向かいます。悲愴な面持ちで日の丸を振りながら見送る家族はまさに戦時中。政治家のメンツも、浅はかな知識で罵る若者も、晴道のような若き青年の使命感が守っていたと思うと何ともやるせない気持ちになります。

満島ひかりをこれ以上泣かせないで!

苦難の連続であった20代以降の也英を演じたのは満島ひかり。涙、涙、涙、、、、どんなけ泣かせるんだとばかりに泣きの演技が連発します。どれも毎回号泣してしまいますが、忘れられないシーンは子どもを手放すことになった別れの日の演技です。

これはもう、、、ちょっと勘弁して欲しいです(笑)。ちょうど下の子が4歳でして、この息子くんに重ね合わせて号泣しました。母親が愛する我が子との生活を諦めるってどんな心境でしょうか。。。想像しただけで涙ぐんでしまいますが、きっと也英のように溢れる想いに歯を食いしばり、堪えるだけ耐え、それでも小さな穴から漏れていた水がやがて破竹の勢いで流れ出てしまうかのように号泣するのでしょう。いやぁ、なんだろ、もう天才。。。。ごめん、それ以外に言葉ないわ。

若さが爆発!八木利可子と木戸大聖

全体的にはかなさが漂う中で、唯一夢と希望で溢れる日常を演じているのが若き日の也英と晴道を演じる八木利可子と木戸大聖です。

2人とも主要キャストとしてこれだけ大規模な役に挑戦するのは今作が初めてだったそうで、非常に苦労しながら役作りに当たったのだとか。木戸大聖は初日で18テイクも重ねてしまい、佐藤健も心配したほど(笑)作品の完成後、佐藤健は「技術がない時はとにかく根性で戦うしかない」と言っていましたが、若さと純粋さで本当にキラキラした青春を体で表現した2人でした。

まとめ

さて今回は2022年11月に配信されたNetflixドラマ『First love 初恋』の感想をお届けしました。ストーリーはもちろん、キャスト、映像、音楽と見どころが満載の本作品。関わったスタッフや俳優陣のプロ意識の高さに敬意を払わずにはいられない傑作です。大切な誰かを思いながら、是非一度ご覧になることをおススメします!